ゴリラが増えると経済成長する?ールワンダでのネイチャーポジティブの事例ー
2024.12.11
私たちが抱える次なる大きな課題、ネイチャーポジティブ。
アフリカでは既にいくつかの取り組みとその実績が生まれています。
ルワンダでは既にネイチャーポジティブのサクセスストーリーが生まれています。
それは、マウンテンゴリラのサファリツアーが国のGDPの約1%に貢献しているという事実です。(参照:WEF)
ルワンダのヴォルカン国立公園には野生ゴリラが生息しています。
実はゴリラも絶滅危惧種の一つで、20年前まではたった700頭しか生息していないほど減少していました。スマートフォンなどに使われるレアメタルなどの希少な金属鉱物の採取による生息地の減少や密猟が原因です。
どうにかゴリラを保全していくための対策として取り入れたのが、「エシカルサファリガイドシステム」でした。
これは、従来の観光客の満足度を高めるために野生動物やその環境への負荷をかけてしまいがちだった従来のサファリガイドに対し、より野生動物の生態を優先しサファリを行うエシカルなシステムです。
国立公園や生息する野生動物にもよりますが、動物との一定の距離の確保や一匹の動物に対するサファリカー数の規制などがあります。
ゴリラを見にいくルワンダでのエシカルサファリは、徒歩で半日かけてゴリラが生息している山まで行きます。そこでは以下のような取り組みが導入されています。
・参加者は各ツアーに8人まで
・サファリはゴリラ一群れにつき、1日1グループまで
・ゴリラを見つけてから見学は1時間まで
・飲食物の持ち込み禁止
このようなエシカルガイドシステムにより、サファリ中にゴリラの自然体を見ることができるだけでなく、なんと個体数も1000頭を超える数まで増加し、生息地も広がっているようです。
これによりエコツーリズムは10年で2倍となり、GDPにも貢献する結果となっています。
またルワンダでは、国立公園入園料の10%をローカルコミュニティに還元しており、その予算も地元の人によって、病院や学校の建設など民主的に使い道を決定しています。
地域コミュニティや学校における保全に関する教育を行うことにより、密猟の数が減っていることも報告されています。
まさにルワンダでは、野生のゴリラをコミュニティと共に守ることで、経済成長を遂げていると言えます。