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多様な角度からの問いをくれる、デンマーク発「幸せ博物館」 | One Planet Café|ワンプラネットカフェ

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多様な角度からの問いをくれる、デンマーク発「幸せ博物館」

2026.06.09

最近、個人だけでなく、企業の間でも関心が高まっている「ウェルビーイング」。その追求の先には、「幸せとは何か」という問いに行き着きます。

とても大切なテーマですが、特にグループや組織内で話そうとすると、それぞれの価値観や心持ちに寄った、漠然とした議論にもなりかねないテーマでもあります。

今回ご紹介するのは、デンマーク・コペンハーゲンにある「The Happiness Museum(幸福博物館)」。ここは、「幸せ」を様々な角度からひもとき、発想を広げ、新しい視点をくれる、世界でもめずらしい博物館です。

まちに溶け込む小さな建物。8つの部屋で「幸せ」を探求する

約240㎡のコンパクトな空間に、8つのテーマルームが設けられています。「幸福の地理学」「幸福の政治学」「幸福の歴史」— 多角的な視点から「幸せとは何か」を探求できる場所です。

興味深いのは、展示が「これが正解です」と教えるのではなく、「あなたはどう思いますか?」と問いかけるスタイルで設計されていること。来館者は知識を得るだけでなく、自分自身の幸せについて問いかける時間を持つことになります。

 

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コペンハーゲン中心部の石畳の通りに佇む、黄色い旗が目印の小さな建物。まるでまちに溶け込んでいるかのよう。

壁一面のポストイット。世界中の「小さな幸せ」が集まる場所

もう一つ館内で印象的なのが、参加型の展示です。

「家族との時間」「朝のコーヒー」「友人との笑い」— 世界中から訪れた人々が、「自分にとっての幸せ」を書き残しています。言葉はさまざまですが、どれも等身大の幸せがつづられています。科学や歴史からのアプローチと同時に、様々な人たちの、一人ひとりの「幸せ」についても知り、向き合うことができる工夫があります。

ここでは見るだけでなく、自分も書いて参加できるようになっています。

壁一面に貼られた色とりどりのポストイット。「あなたの幸せを、壁に書いてください」

パンデミックの最中に開館

この博物館がオープンしたのは、2020年7月。世界がコロナ禍にあった時期です。

なぜ、あえてこのタイミングだったのでしょうか。

運営母体は、2013年にコペンハーゲンで設立された独立系シンクタンク「幸福研究所(Happiness Research Institute)」。学術的な裏付けを持つ研究機関が、一般市民も体験できる場として博物館を開設しました。

不確実な時代だからこそ、幸せについて立ち止まって考える時間が必要——そんな思いが、この施設には込められています。(出典:The Happiness Museum公式サイト[1]、Happiness Research Institute公式サイト[2])

日本55位、デンマーク2位。幸福度ランキングの「差」はどこから?

世界幸福度ランキング(World Happiness Report 2024)で、日本は55位。デンマークは2位にランクインしています(出典:World Happiness Report 2024[3])。

この順位は、日本に住む私たちが不幸だと言っている訳ではありません。このランキングは特定の調査手法に基づく一つの結果であり、文化や価値観によって「幸せ」の捉え方は異なるため、幸福のすべてを表しているわけではありません。

一方で、幸せを様々な指標で評価をした結果として見てみると、今後、幸せをさらに向上させるため、またはウェルビーイングの取り組みを考える上で参考になる情報があると考えることができます。

「足るを知る」と「ヒュッゲ」。デンマーク流ウェルビーイングの秘密

ここで、デンマークの幸福度を支えているのは何か、考えてみましょう。

幸福研究所の研究によれば、デンマーク人は「富と幸福が必ずしも比例しない」ことを理解しているとされています。実際、同研究所のCEOは「デンマークは幸福と富を切り離すことができた」と述べており、最低限の生活ニーズが満たされていれば、あとは生活の質を高める姿勢が根づいているとしている。(出典:VisitDenmark[4])

デンマークの「ヒュッゲ」文化。キャンドルを灯し、温かい飲み物を手に、心地よい時間を大切にする。

高負担・高福祉の「北欧モデル」を支える社会的信頼

デンマークの個人所得税は累進課税で、国税・自治体税・労働市場拠出などを合わせた最高限界税率は約55〜57%とされています(年度により変動)。付加価値税(VAT)の標準税率は25%です。(出典:Skattestyrelsen[5]、OECD Tax Database[6]、OECD Consumption Tax Trends[7])

この高い税負担は、決して「楽なもの」ではありません。しかし、それが医療や教育といった形で自分たちに確実に還元されるという「社会的な信頼」が、負担を「将来への投資」という理解に変えています。

大学まで教育費は無料で、18歳以上の学生には給付金制度もあります。医療費は公的医療制度でカバーされています。(出典:Study in Denmark[8]、Life in Denmark[9])

「社会に守られている」という理解があり、信頼に基づく社会の仕組みが、「北欧モデル」と呼ばれる社会システムの核心です。デンマークのシステムをそのまま日本に持ち込むことはできませんが、仕組みの透明性やコミュニケーションのあり方など、日本でも参考になる取り組みは多そうです。

幸せを言葉にすることから始めよう

The Happiness Museumが「問いかけ」を重視するのは、幸せについて言葉にする大切さを知っているからです。

幸福研究所の研究では、孤独の解消と、一人ひとりが自分にとっての幸せの要素を見つける重要性が強調されています。

幸せを言葉にするプロセスは、自分と向き合う時間となり、また他者とつながるきっかけにもなります。

幸せを感じる瞬間や条件は違えど、誰もが願う「幸せ」について様々な視点から話し合うことが、自分にとっても、家族や組織にとっても大切な一歩になります。

北欧のサステナビリティとウェルビーイングを現地で体感したい方へ

自らの幸せ探求や、組織のウェルビーイングの取り組み検討にあたって、一度、デンマークの幸せ博物館を訪れてみませんか。

One Planet Caféでは、北欧のサステナビリティとウェルビーイングを現地で体感できるスウェーデン視察ツアーを開催しています。

まずは情報収集から
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本記事はOne Planet Caféの視察ツアー情報を含む編集記事です。

【参考文献・出典一覧】
[1] The Happiness Museum公式サイト https://www.thehappinessmuseum.com/
[2] Happiness Research Institute公式サイト https://www.happinessresearchinstitute.com/
[3] World Happiness Report 2024 https://worldhappiness.report/
[4] VisitDenmark「The Danish happiness factor」https://www.visitdenmark.com/
[5] Skattestyrelsen「Types of tax」 https://skat.dk/
[6] OECD Tax Database https://www.oecd.org/tax/tax-policy/tax-database/
[7] OECD「Consumption Tax Trends」 https://www.oecd.org/tax/consumption-tax-trends/
[8] Study in Denmark「Tuition Fees & Living Costs」 https://studyindenmark.dk/
[9] Life in Denmark「SU – State Educational Grant」「How the Danish healthcare system works」 https://lifeindenmark.dk/