
Beyond SDGs 〜SDGs疲れ?SDGs はあと5年…ではない!
2025.03.14
最近、日本では「SDGs疲れ」という言葉を耳にします。
これは危険な兆候です。
現在のSDGsは2030年12月31日まで続くため、まだ6年あります。 その後には「SDGs2.0」、つまり「Beyond SDGs」がやってきます!
ここで大切なのは、「SDGsの流行は終わったから忘れよう」という考えではありません。
Beyond SDGsは、現在のSDGsと連携するリレーのようなものです。
SDGsの歴史を振り返ると、「これは歴史がつないできた私たちの約束」ということがよくわかります。
私(ペオ・エクベリ)は日本のおかげでさまざまなことを学びました。その一つが、「約束の大切さ」です。
日本では時間を守ることも「約束を守る」と表現します。(英語などでは、ここまで「約束」という言葉を使いません。)
SDGsも、Beyond SDGsも、より大きな世界規模の約束です。したがって、「SDGsに疲れたからもうやめよう」ということは、「時間を守るのに疲れたから、もう時間を守らなくていい」と言っているようなものです。
RELAY リレーの理解
SDGsの歴史は1972年に開催された「国連人間環境会議」まで遡ります。その結果として国連の「環境省」にあたるUNEP(国連環境計画)が設立されました。
その後、1992年の地球サミット(リオ会議)では「アジェンダ21」が採択され、それが2000年ごろのMDGs(ミレニアム開発目標)へと発展。そして現在のSDGsへとつながっています。
SDGsは突然発生したものでも、一時的なトレンドでもなく、50年以上前から続く国際的な約束の積み重ねであり、「Beyond SDGs」もまた、その自然な流れの一環なのです。
HOW MUCH? 17%しか達成していない!
SDGsの達成率は、最新の調査によるとわずか17%。まだ6年も残っているのに、このまま諦めてしまったらBeyond SDGsもうまくいきません。
日本が私に教えてくれたもう一つのこと、それは「忍耐」です。
「SDGs疲れ」と言って諦めるのは、日本らしくありません。SDGsの最後の6年間をしっかりとやり遂げ、未来につなげましょう!
BATON STICK? どんなリレーバトンを持つべきか?
SDGsの目標達成にはまだほど遠いですが、国連のSDGsロゴをデザインしたヤーコブ・トロールベック(Jakob Trollbäck)氏によると、世界で約35億人がSDGsを認識している、または聞いたことがあるそうです。
これは驚異的な成果です!
コカ・コーラやトヨタのような世界的ブランドですら、これほど急速に認知されたわけではありません。
このデザインやコミュニケーションの成功から学び、それを活かしてBeyond SDGsを構築していくことが重要です。
もしあなたやあなたの会社がSDGsの推進に行き詰まりを感じているなら、17の目標だけに集中しすぎていないかを見直してください。SDGsには169のターゲットがあり、これらを統合しないと目標達成への道が不明確になってしまいます。
>>SDGsの169ターゲットについての詳細はこちら
BEYOND SDGs 次への重要なポイント
2031年以降の「Beyond SDGs」に向けて、特に重要となる3つのポイントを強調します。
❶ SUCCESS
失敗から学ぶだけでなく、SDGsの成功事例からも学ぶことが大切。現在、民主主義と国際協力が揺らいでいる世界情勢の中で、次世代に希望を示すことが不可欠です。希望は、失敗ではなく成功事例から生まれます。
❷ CLIMATE & BIODIVERSITY
a) 気候変動(Climate Change)
引き続き世界平均気温の上昇をパリ協定の「2℃未満」に抑えること。また、気候変動を防ぐための緩和(Mitigation)と、変化への適応(Adaptation)の両軸に取り組むことも重要です。
b) 生物多様性(Biodiversity Loss)
過去50年で野生動物が73%減少しており(出典:WWF)、2030年までに陸と海の30%を保全する「30×30」目標に向けた行動が求められます。
また、自然、野生動物、土壌、海の回復を目指すリジェネラティブ(Regenerative)や、さらに生態系を豊かにするネイチャーポジティブ(Nature Positive)に取り組む必要があります。
❸ COMMUNICATION & COLLABORATION
a) コミュニケーション(Communication)
成功事例を効果的に広く共有し、より多くの人を巻き込むことが重要です。どのように広め、行動を促すかを考える必要があります。
b) コラボレーション(Collaboration)
持続可能な社会のために、ローカルとグローバルの連携を強化することが不可欠です。
地産地消を大切にしつつ、地球全体がつながっているという「グローバル・シチズンシップ」としての視点も不可欠です。
英語では、 Let’s improve our local Planet!(私たちの地元の地球をより良くしよう!)と言います。
HOPE! 希望!
最後に。
私はこれまで73ヶ国・5大陸を訪れ、10ヶ国 (日本、スウェーデン
、南アフリカ
、イスラエル
、パレスチナ
、イタリア
、エジプト
、ロシア
、クロアチア
、マレーシア
) でジャーナリストとして活動してきました。
どの国にも成功事例がありました。しかし、それらがメディアを通じて十分に伝えられ、国境を越えることはほとんどありません。
人間は、自然の原則と共にすべての解決策を持っています。
そこに焦点を当てれば、残り6年間でSDGsを大きく前進させ、Beyond SDGsへとつなげる道が見えてくるはずです。
執筆:ぺオ・エクベリ