DXとサステナビリティ
2024.09.02
Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)は、北欧のサステナビリティの取り組みにおいても積極的に活用されています。
いくつかの事例を紹介します。
① Is my fruit fresh? この果物の食べごろは?
果物や野菜をスキャンすると、その鮮度や食べごろの時期が分かるという仕組みです。果物コーナーのそばにスキャナーがあり、例えば手に取ったアボカドをスキャンすると、今日食べたほうが良いか、2、3日待った方が良いかを教えてくれます。これにより、SDGs目標12にある「食品廃棄物の削減」に貢献することができます。
写真:スクリーンには「Ät idag!(今日食べてください!)」の表示。
② Points for recycling everything! リサイクルしたものすべてにポイント付与!
スウェーデンでは長年、ペットボトルや缶のデポジット制度があり、結果として国内のリサイクル率は8割を超えています。
最近ではその取り組みがさらに進化しており、専用アプリによるその他容器のデポジット制度が始まっています。
例えば、卵のパック、牛乳パック、またはお菓子の袋にあるバーコードを専用アプリでスキャンすると、自動的に各容器が登録され、アイテムごとにポイントが付与される仕組みです。
また、そのリサイクルがどれだけのCO2削減に貢献したかもアプリ内で表示されます。付与されたポイントは貯めることができ、次回のお買い物の際に割引として使うことができたり、換金することもできます。
容器のリサイクル回収が進むと、焼却時のCO2排出量が減るため、この取り組みは、結果としてSDGs目標13の「CO2の削減」に貢献します。
写真: オーツミルクのパックとジュースの瓶をアプリで登録し、リサイクル
③ QR everywhere! どこもかしこもQRコード!
スウェーデンではキャッシュレス化が進んでおり、バスや電車に乗車する時も現金を使うことがほとんどなくなりました。利用者の多くは専用アプリを通して、電子チケットを購入しています。これにより、片道券〜月額の定期券まで、全てのチケットをアプリによって管理することができます。
スウェーデンの鉄道には改札口が存在しないため直接乗車することができ、車内で車掌が確認に来た時のみ有効なQRコードを提示します。
バス利用の際は、乗車口でQRコードをスキャンして乗車します。
これにより乗車〜降車までがとてもスムーズになり、利用者にとっても電車やバスが乗りやすく、使いやすい快適な交通手段となっています。
スウェーデン国内の主要都市では、公共交通機関は再エネを使用しているため、公共交通機関の使い勝手がよくなることで、SDGs目標11の「都市による環境負荷を減らす」に貢献することができます。
写真: スコーネ地方の鉄道・バス会社のチケットアプリ
④ Digital Reuse-cup デジタル活用のリユースコップ
今年から施行されている新たなEU法により、テイクアウトを提供するコーヒーショップやレストランは、テイクアウトの際、消費者に再利用可能な(リユース)容器を選択肢の一つとして提供することが義務づけられています。
この対応の一つとして登場したのが、アプリ「PANTER(パンテル)」です。
パンテルの使い方は次の通りです。
①専用アプリにクレジットカードを登録(保証のため)
②お店でリユース専用容器についたQRコードをスキャン
③専用容器でテイクアウト(無料)
④1週間以内に同じシステムの導入加盟店で容器を再度スキャンし、返却完了
スウェーデン国内の加盟店であれば、どこでも同様のシステムを利用することができます。ただし、1週間以内に返却しない場合、登録したクレジットカードから自動的に10クローナ(約150円)が引き落とされ、また30日経っても容器を返却しない場合は、100クローナ(約1500円)が引き落とされます。この場合は容器を返却する必要がなく、事実上買い取ったことになります。
専用の容器自体は数百回利用可能な容器です。20回目の使用から、生産する段階に排出したエネルギー・CO2排出量を相殺すると言われているため、SDGs目標13「廃棄物の大幅な削減」に貢献することができます。
これはまだ新しく始まった取り組みですが、すでに全国に広がっています。また独自のリユース容器回収システムを試験的に始めているレストランもあり、今後さらなる進化が期待されています。
写真: カップには「私はリユースカップです。私を返却してください!」の文字が表示されている。