Nature Positive 生きものを守る、私たちを守る、ネイチャーポジティブ
2024.01.30
ここ50年間で、世界の人口は約2倍になりました。
一方、生きものの数は68%減少しました *1。
減少の主な理由として、人間の開発による森林や珊瑚礁といった生息地の破壊、化学物質等による水質、大気、土壌の汚染、食や資源を目的とした乱獲、気候変動の影響などが挙げられます。
生きものが生み出す価値は、生態系サービスと呼ばれ、私たちの暮らしに大きく関わっています。
生態系サービスは、直接的な食や資源としてだけでなく、木や植物が二酸化炭素を吸収し酸素を生み出すこと、土のミミズや微生物が豊かな土をつくり水を浄化すること、ミツバチや虫を通じて受粉され野菜や果物ができること、自然災害に強い環境をつくることなども含まれ、人類の生存基盤と言えます。
そのため、生きものの種類、数が多く存在することは、私たちのいのちの基盤が安定し、暮らしの質の維持向上のために欠かせない条件と言えます。
そこで今、大切なキーワードとなっているのが「ネイチャーポジティブ(自然再興)*2」。
目指すのは、「2030年までに、人と地球のために自然の損失を止め、その状況を反転させ、自然を回復の道筋にのせる」ことです*3。
生物多様性に関する世界目標「昆明―モントリオール生物多様性世界枠組み(2022年)」の中でまとめられました。
そして、私たちにとって大切なこの枠組みを、より多くの人に親しみを持ってもらえるよう、かのSDGsロゴデザイナーであるヤーコブ・トロールベック氏がコミュニケーションデザインを手掛けました。
「昆明―モントリオール生物多様性世界枠組み」の通称は、Biodiversity Plan(生物多様性計画)*4 と名付け、ロゴは、多様で豊かないのちと自然の中の幾何学的なつながりを表現したそうです。
実は、昨年秋にヤーコブさんを訪問した際に、作業中の作品を見せていただいていましたが、ついに魅力的なロゴデザインが発表され、これからの広がりがとても楽しみです。
ヤーコブさんからのメッセージは、”Stayin’ Alive”(ステイン・アライヴ)!
伝説のポップグループ・ビージーズの名曲にかけた、元DJでもあるヤーコブさんらしいメッセージですね。
私たちのいのちと暮らしを守るためにも、一刻も早く、生物多様性の損失という流れから、回復への流れへ。Stayin’ Alive!
執筆:エクベリ聡子
出典・参考情報:
*1 WWF発行 Living Planet Report:生きている地球レポート2022
*2 環境省ウェブサイト「2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)」