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10 Years バナナペーパー10周年!!
2021.04.07
10年のストーリー!
バナナペーパーを実現するための第一歩を踏み出してから、丸10年が経ちました。
2011年3月、アフリカ・ザンビアのバナナ農家で、バナナ繊維を取り出す試みを始めました。
通常は廃棄されているバナナの茎から、繊維が取れ、それを使って紙が作れる、ということは分かっていました。
しかし逆に言えば、分かっていたのはほぼそれだけ。
実際に、水をたっぷり含んだ茎から、どのように水分を絞り出し、繊維が取れるのか。
半信半疑の農民と一緒に、茎を踏んだり、叩いたりしながら、手探りで始めたのが10年前のことです。
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近くに住む野生のゾウ
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バナナチーム
そして現在、日本の和紙の技術と知恵が活きた、美しいバナナペーパー「ワンプラネット・ペーパー®︎」で、印刷会社・紙製品メーカー25社と共に、商品開発と販売を進めています。世界では15カ国で使われています。
この10年を振り返ります。
2011年
アフリカ・ザンビアの農村部で、雇用を生み出し、貧困問題をなくすことで、人と野生動物、環境を守るため、バナナペーパー事業を始めることを決意。
丸吉日新堂印刷・阿部社長との出会いが大きく後押し。
ザンビアのバナナ農家と一緒に、試行錯誤の後、バナナ繊維を取り出すことに成功!村の人々は喜びのダンスで祝う。
7人のチームを作り、繊維取り作業を開始。
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始めた日(2011年3月)
2012年
バナナペーパーの試作に取り組んでくれる和紙工場がようやく見つかる。
意気揚々と進もうとしたところに、バナナ繊維が日本で盗難に。
予定していた生産販売計画が頓挫。その影響で、得られるはずの助成金は見送られ、売り上げはゼロ。大きな挫折に直面。
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越前の美しい紙の神社
その後何とか和紙工場の協力により、バナナペーパー第一号が完成!場所は1500年の和紙の歴史を持つ越前。
そしてあるイベントでバナナペーパーの話を聞いたLUSH担当者のお陰で、LUSHジャパンの包装紙にバナナペーパーが採用されることとなり、大興奮!
2013年
紙および紙業界の知識もなく、紙の流通も分からないまま、バナナ1本と試作の紙を持って営業の日々が続く。
ソーシャルビジネスコンテスト「みんなの夢アワード」で、400件以上の応募の中から最終選考の7名のファイナリストに選ばれ、武道館でプレゼン。準優勝に輝くものの、賞はパソコンやカップラーメンなどの現物支給(優勝は賞金2000万円)で経営資金はショート寸前の大ピンチ。
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武道館でのバナナスピーチ
ある社長からのアドバイスで、印刷会社や紙製品メーカーと共に「ワンプラネット・ペーパー®︎協議会」を発足し、7社でスタート。「環境と社会に価値を生み出す、持続可能な紙事業、紙産業を実現する」ことをビジョンに掲げ、活動を開始。
ワンプラネット・ペーパー®︎協議会のロゴマーク
下の外側から、青は水、緑は自然、中央はいのちを表現。上の黄色は、太陽と、もちろんバナナ!
協議会メンバーと共に、第5回アフリカ開発会議(TICAD V)の公式サイドイベントや、東京ビッグサイトでのエコプロダクツ展などに出展し、バナナペーパーのPR活動に力を入れる。
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展示会の様子 左:安倍総理夫人、右:ザンビア大統領夫人の訪問(当時)
2014年
間借りしていたザンビアの作業場が手狭になってきたことと、現地の野生動物保護を行う仲間から、国立公園からもっと距離をおいた場所で操業するのが好ましいとのアドバイスを受け、移転を決定。
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村の子どもと一緒に
村の酋長や地主と掛け合い、約8000坪(約2.6ha)の土地を入手。しかしここは森林が破壊された土地で、ほぼ砂漠の状態。
広大な土地を手にしたものの、建物を建てる資金はなく、途方に暮れる。
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広大な荒れた土地 – ここでバナナペーパー工場と生物多様性再生が実現できるか?
協議会メンバーからの提案で、クラウドファンディングに挑戦することに。
2ヶ月間で137人のサポーターに支援をいただき、目標額を超える374万3千円を達成。
また、みんなの夢アワード以来、応援していただいていたさわかみ財団より寄付をいただく。
ようやく一筋の希望の光が見える(当時はまだ、これから始まる数々のさらなる試練を知る由もない)。
新しい土地に、井戸を掘り、オフィスと第1棟目の建屋を建設。すべてが手作り、アフリカ流。バナナペーパー事業ではフェアトレードを推進していたものの、この建設関連で委託したチーム内では水も食べ物も与えられず炎天下で働かされている状況が判明。急きょ責任者を呼び、再教育し、全員に食べ物や安全防具などを支給。
建設が始まると、噂を聞きつけた村人が職を求めて大行列。その日から今日まで、履歴書を持って職探しにくる人は後を絶たない。
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毎朝のミーティング。スケジュールのない世界でどうやってスケジュールを説明する?
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オフィス完成!
ザンビアではイメージしたグリーン工場を一生懸命伝えたが、建材に関する注文や届く時間は先進国より大体3倍かかる。もしも届けばの話し。
環境認証されている建材やサーキュラー建材の利用を初日から目指した。村の人々は真剣に聞き、すぐに学んだ!
そして日本では、この年初めてワンプラネット・ペーパー協議会主催のイベント「ワンプラネット・ペーパー フェス!」を開催。パートナーやサポーターのためのバナナペーパーの祭り!
2015年
在ザンビアの日本大使館から草の根支援を受け、3棟の建屋と倉庫などを増設。設計図を書ける人も、読める人もいないため、自らのお絵描きレベルの絵を元に建設を開始。
円形の建物では、面積の計算式を間違ったため、当初予定の2倍の大きさになってしまうというハプニングもあったが、無事完成。バナナ繊維の一部加工や手すきの紙づくりができる環境が整う。工場のメンバーに愛犬2匹が加わり、賑やかに。
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設計図のない世界では手書きのイメージで!
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多目的ルームを建設中
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After 大成功!
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円形の建物。面積の計算式を間違って2倍の大きさになった。
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オフィスで働くSatokoとJungle
2016年
日本でのバナナペーパーの売り上げが徐々に拡大。
あるパートナー企業の支援により、バナナ繊維用の機械を導入。機械はインドからの輸入で、到着時にはメンバー全員がまた踊り、喜びに浸る。
その喜びも束の間、機械のコードからは火花が飛び、新たに取り替えたと思えば溶け始め、モーターは動かなくなり、壁のコンセントからは煙が出る。十分な電力と言われたソーラーパネルは全く足りず、返品もきかず、電力会社に掛け合うと「電柱は何本使う予定だ」と意味不明な質問を投げかけられて初めて、全ては自分たちでアレンジしなければ何も動かないことを知る。
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煙の後、機械が動く!次は効率の良い働き方と安全性。
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できた繊維を確認中。
ドタバタ劇の中、愛犬2匹がサプライズの妊娠、出産。合計7匹の仔犬が加わり、前年から建設が続く工場の敷地がカオス状態に。
バナナペーパーをスタートした初日から、フェアトレードとサステナビリティの取り組みは進めていたものの、2015年秋に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」をバナナペーパーにおける取り組みの重要な指針とすることを決定。
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現地のチームはとても良い仕事をしてくれている!
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フェアトレード認証!
2017年
ザンビアのチームメンバーのスキル向上を目指し、現地での手すきの紙づくりに挑戦。
越前和紙の紙工場の社長にザンビアまで来ていただき、直々に指導していただく。
社長は、なんとこのザンビア訪問が初の海外経験。
とても貴重な機会に、チームメンバーの眼差しも真剣そのもの。
現地の限られた道具や資源を活用しつつ、味のある手すきのバナナペーパーが完成。
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越前和紙の紙工場のMichio社長
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チームメンバーのSusanとBeatrice
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手すきのフェアトレードラベルのバナナペーパー!
この年、本当に素晴らしいことが起こった!国連により、バナナペーパー工場の近くにある、サウスルアングア国立公園が、世界初のサステナブルな国立公園に指定される。
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サウスルアングワで撮った写真!野生のヒョウ!!
チョイスホテルズの寄付プログラムにより、チームメンバーや地域の人々のサステナビリティについての学びの場を提供する「SDGsラウンジ」をスタート。生物多様性の価値、貧困を減らすための家計、気候変動などについての学び場!
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チームメンバーのLizzieとPeoと現地のオーガニックバナナ
2018年
2014年に手に入れた土地はほぼ砂漠の状態だったが、2018年ごろには、チームと鳥のお陰で生物多様性が再生した。「バナナペーパー工場inアフリカ」は文字通り夢のように美しくなった!!
その時!最も大きなチャレンジが起こった…
2007年に始めた初期プロジェクトから長年苦労と喜びを共にしてきたはずの、ザンビア現地責任者による数年に渡る不正が発覚。
まさに「まさか、私たちに限って」の、青天の霹靂(へきれき)状態。
法律とフェアトレードの方針に基づく措置を進めようとするが、複雑な社会システムと賄賂や汚職の横行などで思うように進まず心身ともに疲労困憊の日々。
チームメンバーの信頼とやる気を取り戻し、新しい組織体制で立て直すまでに約1年が過ぎる。
新体制では、一人に権限が集中することを避けるため、4人の共同リーダー制を導入。女性2名、男性2名で役割分担を行うことに。
2019年
日本とイギリスからの注文が過去最高に。
新体制で、管理業務未経験者ばかりのリーダー達を筆頭にメンバー全員が大奮闘し、生産、品質管理、梱包、出荷を無事にこなす。
日本では、開発されたバナナペーパー商品の種類が100を超える。
これまで利用いただいた企業や団体は、LUSH、花王、イオン、コンフォートホテル、リコー、ゼロックス、トヨタ、国連ハビタット、東京藝術大学、青山学院大学、パナソニック、T&D、シチズン、エプソン、ザンビア大使館、川崎フロンターレ、三井倉庫グループ、薬樹などに加え、中小企業、大学と数万人の個人ユーザー。
2020年
コロナの影響で、国立公園の観光業で成り立っている村が大打撃を受ける。
バナナペーパー工場も政府からの自粛要請を受け、1ヶ月の臨時休業。休業中も有給とし、緊急食料支援パッケージの支給を行う。
再開後は、マスクの支給や、マスク着用と手洗いに関する教育を実施。
コロナ禍でも、日本からの注文にチーム連携で無事に応えることができた。
…ここでご紹介したのは、わずか一部の出来事ですが、こうして振り返ると、多くの仲間に支えられてここまでやってきたことを改めて感じます。
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最新のバナナペーパー商品の一つ、バナナ紙袋!
そして今も、トラックの部品が壊れて正しい部品が届くのに約半年かかる、食費の計算を間違えて予算がショート、〇〇さんの長靴がなくなった、不思議な野生動物が工場に来た!、などなど日常のチャレンジも途絶えることはありませんが、バナナペーパーのサステナビリティにむけた旅は続きます。
2021年
Fast alone, Far together.
– 早く行きたければ、一人で行け。遠くへ行きたければ、仲間と共に –
これは、大好きなアフリカの諺です。
現在、フェアトレードのバナナペーパーは世界では15カ国で使われています。これからも、バナナペーパーのサステナビリティの旅を共に歩んでいただけると幸せです。
Zikomo!
*ザンビアのニャンジャ語の「ありがとう!」